自転車置き場の整理~放置自転車の処分の手順にご注意!そして自転車利用者は保険に入りましょう

自転車置き場

春を迎えると自転車を買い足したり、買い替えたりする方も多く、それに伴って台数が増えて自転車置き場が狭くなる、という季節になります。

管理組合では5~6月ごろに自転車置き場の一斉整理を、毎年の恒例行事にしている事例もあります。

あまりトラブルになることは無いのですが、万が一のことを考え、どんなリスクがあるのか知っておいて損はないと思います。

放置自転車の処分の注意点

ホコリをかぶってパンクして、ずっと乗っていない自転車があると、だらしなくて見た目も悪いし、ゴミもたまるし、マネする人が増えるのも心配です。

でも敷地内の放置物と言えども、勝手に処分することは「自力救済の禁止」、つまり法的な手続きを踏んでいないので認められない行為と言えます。(持ち主がクレームを入れて来なければ問題にならないのですが)

捨てるに捨てられない思い出の自転車かも?

思わぬ反撃を食うことがないよう、慎重に手続きを踏んで処理しましょう。

落とし物扱いに出来ないか?

登録シールも無く、誰の自転車か分からない自転車を「落とし物」として警察に届けることは出来ないでしょうか?
落とし物は「遺失物法:第7条」により、警察署長が3か月間の公告をした後、処分することになっています。もし落とし物として受理してもらえれば、そのまま処理もお任せ出来そうですが…

残念ながら、私有地内の落とし物の場合は(まず間違いなく)取り扱ってくれないので、管理組合で対処しなければならないでしょう。

警告文書 → 移動・保管 → 処分

「〇月〇日までに、持ち主は登録シールを申し込むか、撤去しない場合は管理組合で移動し、その後は処分します」

処分する前に、このような文書を貼ったり荷札を取り付けたりしますよね。

日付が分かるように、掲示物や自転車の状況を写真撮影して証拠を残しましょう

敷地の一角に移動して、すぐに処分せず一定期間(遺失物法に準じて3ヶ月が望ましい)保管する必要があります。

盗難自転車が放置されたもので、所有者が盗難届を出しているかもしれません。

警察に連絡して確認してもらってください。盗難届が出ている自転車なら、警察が引き取ってくれます。

110番ではなく最寄りの交番に連絡しましょう。

長期不在者の可能性もありますので、移動させた後もすぐ処分しないで保管しておくことが望ましいです。

トラブル(事例)

何年間も乗っていない、ホコリまみれでパンクしている自転車がありました。

管理組合は2週間ほど文書を掲示し、名乗り出る者が居なかったため、その後に廃品回収業者に依頼して処分しました。

すると同時に、所有者と名乗る部外者が管理組合にクレームを入れてきたのです。

???
???

ここに置いていた俺の自転車はどこにやったんだ?

理事長
理事長

放置されていて、掲示しても申し出がなかったから処分しましたよ。

???
???

掲示文書なんて見なかった。自転車は返してくれ。

理事長
理事長

もう業者が持って行ったのでありませんよ!

人の敷地に放置していたのが悪いでしょう!

???
???

建物の中にたった2週間掲示しても、部外者の自分には分からないぞ。

それに自転車を無断で処分する権限はないだろう?
放置していたのは悪かったので謝る。
自転車は返してくれ。

実際、こんな穏やかなやり取りではなかったようですが…。

処分されるのを狙っていたとしか思えませんが、結局、管理組合は自転車代を弁償したそうです。

こういうクレームはレアケースですが、長期不在者部外者の自転車はあり得るので、1~2週間の告知で処分するのは早すぎるでしょう。お互いに嫌な思いをしないよう、慎重にやりましょう!

処分するのであれば、警察の「3ヶ月の公告」に準じて、3ヶ月の保管後の処分が望ましいです。

自己申告で処分するよう促そう

必要が無い自転車なら、本人が処分するのが一番いいに決まっていますが、それを待っていても自転車の台数はなかなか減りません。面倒だからこそ、放置されているわけですから。だから管理組合で段取りしてあげる方が手っ取り早いです。

役員
役員

要らない自転車くらい、自分で処分するのが当たり前!

その通りなんですけど、ここは名を捨て実を取りましょう…

お互いにメリットがあって、かつ「放置したままでは損する」と思ってもらえるような案内文書を作って、自己申告の処分を促しましょう。(相手に伝わる文書が、ここでも大事になります)

〇月〇日までに申し出てくれれば、管理組合が業者に依頼して無料で処分します(得)
   +
要らない自転車をそのままにしておいたら年間〇〇円の料金がかかります(損)

台数を管理して月々の使用料金を徴収する

自転車シールで登録して台数を把握するのは、大体どこでもやっていると思います。

最近は「号室」「名前」を書くのはもちろん、マンション名すら嫌がられ(マンション名をイニシャル表記にすることもあります)、プライバシーに非常に気をつかうようになりました。
連番でナンバリングしておけば、管理上の問題はありません。

使用料金は「駐輪可能なスペースは十分にあるか」「駐輪場の種別は(屋根なし、屋根あり、屋内、ラックの有無、ラックの上段・下段・使い勝手)」「大人用・子ども用、三輪車で差を付けるか」など、色んな基準で決めます。

月額50円~500円くらいまで幅があり、地域によっても相場が異なるでしょう。

最近問題になるのは電動自転車の取り扱い

普通の自転車より幅を取るのと、重量が重いのでラックの上段に載せるのが難しいなど制約があるため、原付バイクに準じた扱いで対処しています。(普通の駐輪場には停めない、専用スペースを設ける、料金を高めに設定するなど)

電動自転車で3人乗りするお母さんのイラスト
電動自転車は女性の利用者が多く、出し入れが大変そうです

シェア自転車ってどうなの?

滅多に自転車を使わない人のため、共用の自転車を用意すれば台数を減らせるかもしれません。
街中ではレンタサイクルを見かけることも多くなりましたが、マンションで導入するには規模が大きくないと、専門業者に委託するのは難しいでしょう。

管理組合で共用自転車を用意したら台数が減るんじゃないかな?

事例が無いわけではありませんが、問題点をしっかりと話し合って、細則を定めておいてトラブルにならないよう注意が必要です。

  • 整備不良が起きないように点検やメンテナンスはいつ誰がやるのか?
  • 利用中に故障が起きたときの修理費用の負担は?
  • 事故が起きた場合の責任は?(賠償保険の加入は?)
  • 鍵の受け渡し方法は?利用できる時間は?
  • 盗難が起きた場合の責任は?

「利用者が乗る前に自己点検して安全を確認し、利用中の事故・盗難などのトラブルに関して管理組合は一切免責とする。通常の利用に伴う修理、交換は管理組合が費用を負担する」など、ルールを定めることも出来るでしょう。

とはいえ悩ましいのは、ガチガチに細かくルールを作って、その結果「気軽に利用できないから自分の自転車の方がいいや」と思われてしまうと「自転車の台数を減らす」という当初の目的が達成できなくなります。

いくら「利用者の自己責任」と定めても、共用の自転車でトラブルが起きてしまったら良い気持ちではありませんし、管理組合独自のシェア自転車はあまりお勧めしたくないかな、と思っています。

自転車を利用する方は個人賠償責任保険への加入を!

シェア自転車は別として、普段から自転車に乗る人は「個人賠償責任保険」に加入することは絶対に必要だと思います。

年配や小さな子どもとの接触事故は、重大な結果につながり多額の賠償責任を負う可能性があります。

管理組合が入っている保険は個人の自転車事故に利用させてもらえないですし(管理組合の方針による)、多くのマンションで補償額を1,000万円~3,000万円くらいに設定しているので、そもそも賠償額に全然足りません。

自転車を普段から利用する方は、個人賠償責任保険への加入をお勧めします!

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