みなさんが火災保険に入っているように、管理組合も火災保険に入っています。
その補償の違い、補償の範囲の違いをご存じでしょうか。
個人宅(専有部分)の火災保険
マンション法の教科書を読めば、「上塗り基準」とか「壁芯基準」とか、詳しく書いています。
そういう専門的な解説は別のサイトにお任せするとして、簡単に言えば室内の内装、家財道具を守るための火災保険は自分で入りましょうということです。
管理組合の火災保険では、個人の部屋は守ってくれません。
加入漏れに注意!!!
そもそも、加入してい保険の契約が切れていないか、証券をどこに保存しているか、念のため確認しておきましょう。
そんなバカな?と思うかもしれませんが、契約が切れている人も実際にいます。
マンション購入時にローンを組むと同時に火災保険に入ります。
それが30年以上経ってローンを完済し、保険も切れていて更新せず…ということが起こりえます。
保険会社から更新の案内は届いているはずが、案内を見落とすなど、更新を怠ってしまうことがあるんですね。
火災保険に入っていないとどうなる?
火災保険はどんな時に使うものでしょうか。
うっかり火事を起こしてしまったときに、被害を与えてしまった周りの人に弁償するため?
いいえ!
火災保険は自分自身の財産を守るものです!
火事を起こした原因者は、他人に与えた損害を補償する法的な義務を負いません。
「失火法(失火責任法)」という法律をご存知ででしょうか。
木造住宅の多い日本では延焼の被害が大きくなりやすい、つまり巨額の賠償責任を負ってしまうため、原因者は賠償責任を負わない、とするものです。
例外的に放火とか寝たばことか、「故意」や「重大な過失=わざとと同じくらい悪質なミス」の場合は、賠償責任が発生することもあります。
原因者の責任を追及するには、火災の原因を特定しなければならない
例外的に賠償責任が発生するとはいえ、火事の原因を特定するのは困難ですし、相当の時間がかかります。
- 故意だったのか?(犯人は誰なのか?)
- 「重大な過失」があったのか?
- 原因者は生存しているのか?(焼死していたら)相続人は?
- 原因者が賠償責任を負うとして、すんなりと払うのか?資力はあるのか?
- 訴訟を起こすのか?訴訟費用と時間はどれだけかかる?
- 日常生活を取り戻すため、一刻も早く復旧しなければならないのに、いつになったら補償を受けられるのか?
現実問題として、仮に故意や重過失があったとしても、原因者から賠償金を取るのは相当な時間と労力が必要ですし、取れるかどうかも分かりません。
火事の原因が何であれ、もし火災保険に入っていない場合、最悪自腹も覚悟しなければなりません。
それくらい重要です。
火事は「燃える」ことだけが被害じゃない!
火事による被害は、家の中や家財が燃えることだけが被害ではありません。
マンションのようにコンクリート住宅の場合、1室の中だけで収まることが多く、周囲の部屋にまで延焼する危険性は少ないです。
しかし、消防隊が消火のため放水したスス混じりの大量の水は、下の階に漏水します。
むしろこちらの方が深刻で、大きな被害になります。
漏水は直下階だけではなく、2フロア、3フロア、それより下まで被害が拡大することも珍しくありません。
更に火災は深夜や早朝に起こりやすく、消防が来て大騒ぎになっても寝ていて気付かないこともあり、被害を余計に大きくします。
スス混じりの水の臭いは簡単に取れません。電化製品も濡れてダメになります。
また煙による汚れは、廊下や階段を通じて広範囲に及びます。
密閉された空間のススの臭いは、清掃・換気しても数日間は取れません。
- 燃えた内装、家財道具など直接的な被害
- 消火活動による水濡れの被害
- 煙による汚れ・臭いの被害
これらの被害はすべて被害者側の火災保険で対応します。加害者の保険ではありません。
そして、管理組合の火災保険で守られるのは共用部分だけ。
専有部分の被害は一切補償されません。
ですから保険切れが万が一にも無いように、期限や補償内容を確認して、分からなければ一度は保険代理店に問い合わせましょう!
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