今回もよくあるトラブル、ゴミステーションの管理についてです。
先日のテーマ募集で複数の方からご意見いただきました。ありがとうございました!
ところでゴミを捨てる場所のことをなんと呼びますか?
実は方言があって、地域によって呼称が違うんです。
「ゴミステーション」が一番多い呼称のようなので、以下は統一します。
ゴミステーションの設置場所と形状
地域によって設置基準が異なります。
一定の戸数以上の場合は敷地内に設置する義務があったり、それも建築年度によって違ったり。
ゴミステーションの代表的な形状は次のようなものがあります。
直置き型(ネット被せ)
三方ブロック型(ネット被せ)
ボックス型(既製品)
物置型(既製品OR特注)
便利で問題が起きづらいように見えますが、裏では実は問題は起きていて、それが見えないように管理員さん・清掃員さんが処理していることを知っておいて欲しいです。
ゴミステーションで起こる問題点を2つに分類する
大きく分けると、設備的な問題と、人的な問題に分けることが出来ます。
(いま私が勝手に分類しました)
それぞれの問題点と、解決策を書いてみます。
設備的な問題
① ゴミステーションが敷地にない
小規模で築年数が古いマンションでは、敷地内にゴミステーションが無い場合があります。
町内会と共同で、路上などに出すパターンです。
町内会と共同管理ということで、仲が良くないと変な揉め事に発展したり、しなくていい苦労をするので、敷地内に作りたい(町内会と縁を切りたい)という話が出ます。
スペースの確保が最大の難点ですが、ボックス型・物置型を設置できれば解決です。
自治体から補助金が出る場合もありますので、設置する前に確認した方がいいです。
管理会社も知らなかったり、申請を忘れたりするので気を付けましょう。
② ゴミステーションが劣化している
床がコンクリート打ちっぱなしだと、油汚れでひどく汚くなります。
水洗いしても取れません。
そこで日常清掃で水洗いして汚れが取れやすいよう、床に防塵塗装(ウレタン塗装など)を施します。
しかし所詮はペンキ、数年で剥がれるので定期的な塗り替えが必要になります。
ペンキの代わりに、床はシート張りにした方が耐久性があります。
ただし下地の処理(平らにする)や、密着の強度、端末(はしっこ)に隙間が出来ないように施工するのが難しいでしょう。
また、1枚で張ってしまうので、部分的な補修は出来なくなります。
防塵塗装の場合、下地撤去・処理・塗装の工程は1日で終わりません。
2~3日かかるので、施工期間中ゴミステーションが使えなくなる問題があります。
人的な問題
どちらかと言えば、こっちで悩んでいるマンションの方が多いでしょう。
人的な問題、つまりマナー違反や不法投棄などです。
①ゴミの出し方のマナーが悪い
曜日を間違う、正しく分別していない、回収後に出す、ネットをきちんと被せない。
何十回、同じような注意文を書いただろう・・・
原因がゴミを出す人に由来するため「人的な問題」に分類します。
対策①-1 分かりやすい注意文を張る(配る)
「今日の収集は終わりました。明日は燃やせるゴミです」
日めくりのように、エレベーター内や掲示板に表示して、ゴミの収集後に入れ替えます。
手間がかかりますが、一定の効果はあるようです。
マグネットシートでキレイに作ってもいいですね。
対策①-2 回収されなかった違反ゴミを晒しものにする
違反ゴミをエントランスなど目立つ場所に置いて、自主的に持ち帰るよう促します。
ゴミの中身を確認して個人を特定する管理組合もあります。
やりすぎのような行為ですが、そこまでするのには、それなりの経緯や理由があるのでしょう。
だらしないマンションだと宣言するようなものなので、展示は短期間で。
最後は管理組合で処理するしかありません。
注意文書、口頭注意、晒しものでは解決しません。
それに、きつく注意するのもダメです。
萎縮してしまって、ゴミを家の中にため込み、ゴミ屋敷を作る原因になります。
・やさしくルールを教える(根気強く)
・見守り担当者を付けて、ゴミ出しの「お手伝い」をする(基本は自分でやらせる)
・行政のゴミ収集サービスを利用してもらう(家族や介護の方の協力も必要)
②部外者による不法投棄
ネットを被せるタイプで、部外者の不法投棄を防ぐことは困難でしょう。
対策②-1 防犯カメラ・センサーライト
真っ先に思いつくだろう防犯カメラにセンサーライト。おそらく役に立たないでしょう。
不法投棄は一瞬のことですから、カメラに気づかないか、気にせず捨てていきます。
仮に映像が残っても、部外者なので特定することはまず無理です。
警察もどこまで捜査してくれるでしょうか??
そこに神経をとがらせてすり減らし、時間を消費し、お金をかける価値があるでしょうか。
1人掴まえることが出来たとして、さらなる不法投棄が発生したら?
どうしても抑止力が欲しいなら、ダミーカメラとセンサーライトで十分です。
センサーライトは「入居者のために明るくする設備」という効果もあります。
対策②-2 南京錠・ダイヤル錠・キーレックス
ボックス型・物置型など、扉がある形状では施錠が最も有効な方法でしょう。
ここで問題になるのは「鍵の開錠・施錠」を誰が管理するか?です。
「南京錠」の場合
鍵を入居者全員に配るのは現実的ではないので、朝いちばんに開錠する「当番」が必要です。
ちょっと今の時代にそぐわないですね。
住み込みの管理員さんにやらせるマンションもあるようですが、早朝の時間外労働になるから止めておきましょうね。
「ダイヤル錠」の場合
入居者全員に暗証番号を周知するだけで済みます。
「覚えやすい単純な番号」「見やすい大きな番号の錠前」を用意することが大事です。
朝の薄暗いとき、番号が見えづらいという意見が出ます。
高齢者への配慮が重要です。
「キーレックス」の場合
扉があれば、キーレックス錠を取り付けられるかもしれません。
ゴミステーションだけじゃなく、空港や銀行、色んな場所で見たことがあるはずです。
ただし扉の素材・形などによって取り付け可否が異なるので、必ず専門業者に相談してください。
キーレックスは使用の条件によって、ちょくちょく故障することがあります。
建具に狂いが生じても、施錠開錠できなくなったりします。
なかでも開かなくなるトラブルは最悪です。
不法投棄は管理員さんがいない時間帯に行われるので、夜間・祝日に施錠している状態(または、見た目だけでもカギが付いている状態)にしておけば、たいてい諦めます。
つまり、朝いちばん~ゴミ回収まで開けっ放しでいいので、意外に楽です。
最初にゴミを出す人が鍵を開けて、開けっ放しにする。
回収後に管理員さんが施錠する。これだけでOK!
まとめ(私見)
お金をかけず、何もせずに、手に入る安全・快適・清潔はありません。
じゃあゴミステーションの維持管理に、どんな対策をすればいいのかな?
普通は、次の順番で対策しようと考えるのではないでしょうか。
- 「人」がまず、いろんな対策をしてみる。ルールを配布したり、注意喚起したりする。
- それでもだめな場合に、お金をかけて「設備投資」する
でも、本当に必要な手順は逆だと思います。
- 最初に、最低限でも「設備投資」をすること。
- そこで足りないことや不便が出てきたら、人の手で補っていく。
- 追加の設備投資をするのもいいです。
出来るだけ人の手をかけない仕組み、それが、管理員や役員などが交代しても同じ状態を長く維持することができるポイントになるのではないでしょうか。
人的資源 | 「管理員」「役員」の役割分担、担当決め 高齢者対策・認知症対策 |
設備投資 | マンションに適したサイズ、形状のゴミステーションを整備 設備が不足したり壊れたら、費用をかけて補うか修理する |
お金 | 処理できないゴミが発生したら、管理組合で速やかに処分する ゴミが滞留する期間を最小にとどめ、スムーズな処理の流れを作る |
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