マンションでは2~3年に1回、多いところでは毎年、排水管の清掃が行われます。
マンションは戸建て住宅に比べ、排水口から共用のタテ管までの距離が長く、配管の勾配がゆるやかで、汚れが溜まりやすい構造になっている場合があります。
専有部と共用部の配管と合流して、最後に公共の排水桝に行きつくまでの間、合流地点で汚れや異物が溜まると全体の流れが悪くなったり、詰まって逆流する恐れがあります。
そのため定期的に建物全体の排水管清掃が行われるわけですが、お部屋の中の排水を日ごろから清掃することによって、排水の流れを良い状態に保てるし、臭いも抑えたり、清掃周期を延ばせる可能性もあります。
排水管清掃の方法
洗浄方式 | 洗浄方法 | 注意点 |
高圧洗浄方式 | 高圧の水をノズルから噴出して汚れを除去する | 高圧洗浄車が必要なので1戸だけで施工すると割高になる |
トーラー方式 | ワイヤー(ブラシ)で汚れを削り取って除去する | 管が劣化していると破損する恐れがある |
圧力方式 | ラバーカップ、ポンプ等の圧力で汚れを押し出す | 大きな固形物の場合、かえって奥に詰まらせる恐れ |
薬品洗浄 | 薬剤を流し込んで異物を溶かす | 放置すると固まって悪化させるので使用後に水をよく流す |
もっとも清掃の効果が高く、多く用いられるのは高圧洗浄方式です。
ただし排水管の材質が古い鉄管のままだと、高圧洗浄やトーラーでは配管に穴が開いてしまう恐れがあるため、薬品洗浄くらいしか出来ません。
また鉄管ではなくても、古い塩ビ管は接続部分が脆くなっていて、穴が開いてしまうことがあります。
こ清掃作業で劣化した配管に穴が開いてしまった場合に関しては、見積もり条件の免責事項に入っているはずです。
排水管清掃が行われる範囲
- 専有部
- 洗面所
- 台所流し
- 洗濯
- お風呂
- 共用部
- タテ管
- 公共桝までの横引き管
トイレは清掃範囲に含まれません。
配管が普通の排水よりも太いため詰まりづらいのと、清掃するには便器を脱着しなければなりません。
専有部の排水管清掃には立会いの協力を!
全戸一斉の清掃には、都合が合わない場合でも業者に申し込んで日程調整してもらい、清掃作業に協力しましょう。
排水を詰まらせて漏水させた…など事故の原因になった場合、清掃しなかったことで立場が余計に不利になる恐れがあります。
清掃費用はどれくらい?費用は誰が負担する?
費用の負担は?
管理費で全額支払う場合がほとんどですが、専有部分の費用に相当する単価だけ、別途、管理組合で徴収するケースもあります。
清掃費用の相場は?
高圧洗浄方式で保証期間を1年の仕様なら、1戸あたり換算して3,000円~5,000円が相場だと思います。マンションの規模によって変動しますが、安い業者さんなら戸当たり2千円台もありえます。
個人で頼むと最低でも1万円前後かかるので、一斉清掃はかなり割安ですね。
それでも、共用部の配管清掃費用も合わせると、50戸なら1回あたり20万円~30万円ほどかかるので、毎年実施する予算として考えたらそこそこ大きい金額です。
多少単価が割高になっても保証期間を2年に延長する。そしてお部屋の中の清掃は欠かさないよう周知徹底する。
このような工夫をして、清掃周期を2年、3年に延ばしているマンションもあります。
ひとりひとりが小まめに清掃していれば、毎年清掃しなくても大丈夫だと思います。
排水の流れが悪くなる原因
個人の使い方による差
総会などで排水管清掃の話題が出ると、個人による差の大きさが顕著に出ます。
流れが悪いし、ときどき悪臭がするから、排水管清掃しません?
ウチは何ともないよ?まだやらなくていいんじゃない?
個人差があるということは、お部屋の使用頻度・使い方・排水トラップの手入れの問題の可能性があります。
自分で清掃出来る範囲の排水トラップは、必ず清掃しましょう!
洗濯の排水は、洗濯機本体のゴミ取りを小まめに掃除しておけば、それほど心配ありません。
特に髪の毛が詰まりやすいお風呂の排水トラップ、油汚れが固まる台所は、頻繁に清掃するべきです。
そして月に1回程度、市販の排水管洗浄剤を使用した方がいいです。
排水管洗浄剤の使い方
③で水を流すとき、手動で圧力を送り込む排水管用ポンプを併用すると、汚れを押し出すことが出来るので、より一層清掃の効果が高まります。
全戸一斉に排水管洗浄剤を使用する事例もあります
管理組合で排水管洗浄剤を一括購入して全戸に配布し、同日・同時刻に一斉に投入するマンションがありました。
全体の配管に対してどれほどの清掃効果があるのか定かではありませんが…
少なくとも専有部の排水トラップはキレイになることは間違いないし、排水詰まりの苦情も無く、業者にもほとんど清掃を頼んでいませんでした。
小規模なマンションだから出来たことかもしれませんし、ちょっと特別な事例ですね。でも排水トラップを小まめに掃除するのは重要です!
通気管(通気弁)の詰まり
共用の排水管には、醤油差しの穴と同じ原理で、排水の流れを良くするための空気穴があります。
屋上にあったり、外壁に付いていたり、パイプシャフト内にあったり、建物によって異なります。
それほど多い事例ではありませんが、この通気管が目詰まりしていると、その部屋のタテ系統全部の流れが悪くなります。トラップの封水が排水に引っ張られて無くなることもあります。
頻繁にそのような現象が起きる場合は、通気管の詰まりが原因ではないか、疑ってみても良いと思います。
ただし外壁に付いている場合は点検が難しいので、大規模修繕工事の際に清掃や交換をします。
おまけ(排水口のカビ対策)
お風呂の排水トラップの周りや蓋はカビが生えませんか?
数日放置しただけで、カビが生え始めて黒ずんでいました。(とても写真は載せられません)
カビ対策で上手くいっている方法があるのでご紹介します!
排水口クリーナーです!
100円ショップで購入しました。
(本来は台所の流し用)
ヒモの部分は邪魔なので切り取ります。
髪の毛が絡まるので。
あとは排水口にポンと置いておくだけ
1週間後の状態。
ゴミは取り除いていますが、掃除はしていないのに、黒ずみが全くありません!
塩素がカビを抑制しているようです。
排水トラップの中のヌメリも減っています。
1~2ヶ月くらいは効き目が続くので、コスパいいです。
コメント
いつも楽しく読んでおります。
教えていただきたいのですが、一年保証と二年保証の作業内容の差は何処に有るのですか?
よろしくお願いいたします。
いつもありがとうございます!
保証期間による作業内容の違いはありません。
例えば、清掃単価が戸あたり+500円など、保証延長分が上乗せの価格になります。
毎年やるより、2年保証の方がトータルで安いのは確実です。
保証を延長して経費を抑えるか、毎年やらないと困るという意見を取るか、話し合いですね。
ただし配管が古いマンションの場合、業者さんが2年保証を受け付けてくれない場合があります。
見積もりを依頼するとき、保証を2つのパターンで出せるか確認してみるといいですよ。