管理員の人材不足が話題になる中、もともと管理員がいないマンションもあります。
中には、管理員と顔を合わせて挨拶するのが面倒だから…という理由で、あえて管理員不在マンションを好む人もいるそうです。
管理員不在のマンションはどういう管理体制なのか、イメージできるでしょうか?
管理員不在だからこその管理体制についてご紹介します。
建物の特徴
30~40戸未満くらいの小規模で、比較的築年数が古いマンションに見られます。
最初から管理員を配置しない設定で建物が設計されているため、管理事務所が無い、または管理事務所はあるけれど狭小だったり受付カウンター(窓口)が無い造りです。
統計データはありませんが、築30年以上・40戸未満のマンションで管理員不在のマンションは珍しくないです。(経験則ですが)
管理体制を変更した事例もある
後から管理体制を変更した事例、つまり管理員の有り・無しを変更した事例は、少ないながらもあります。
管理員なし → 管理員あり
管理事務所が無いため、ポンプ室の一角に机を置いて無理やり事務スペースを作ったマンションもありました。しょっちゅうポンプが動くのでうるさいです。
また、敷地内の空きスペースにプレハブ小屋を建てて事務所を作ったり、屋内駐輪場の一部を間仕切りして事務所にしたケースも。
いずれにしても決して良好な勤務環境ではなく、長時間の勤務には向きません。また予算の都合もありますので、週に1~2回・午前中などの短時間勤務です。
管理員あり → 管理員なし
逆のパターン、管理員を廃止したというのは聞いたことがありません。(ゼロではないと思いますが)
それだけ管理員の存在を重要だと感じる管理組合が多いのでしょう。
管理会社の立場から見る「管理員不在」
清掃、点検、フロント業務の3点で、どのような特徴があるか解説してみます。
清掃とか点検とか、管理員さんの仕事を住民がやらなきゃいけないの?
日常清掃は?
「巡回」清掃方式が主流です。清掃専門の担当が、1日に数件の管理員不在マンションを巡回しながら清掃します。
道具を洗ったり保管したりする場所すら無いマンションもあるため、水をタンクに入れて、清掃道具も一式そろえて車に積んでいます。
週に1回~2回の頻度で巡回しますから、その間に汚れたり、ゴミが落ちていたら、住民さんが拾ったり掃除したりもします。
だから、普段から汚さない・ゴミを拾うという意識が強いし、当たり前になっています。
自分たちの住まいなんだから、管理員が居ても居なくても、共用部をキレイに保つのは共通していることだと思いますが、より以上にその意識が強いですね。
設備の点検は?
同じく「巡回」点検方式です。点検専門のスタッフが担当することもありますし、日常清掃と同じスタッフが兼務する場合もあります。
点検の頻度は週に1回~月に1回程度です。
もしその間に照明の球切れがあれば、気づいた方が管理会社に電話してきてくれるので、交換するまでに多少の時間がかかります。
設備の故障の連絡を受けた場合も、内容や緊急度によりますが、現地を確認するのに時間の猶予をもらいます。
フロントの業務は?
管理員の業務の一部をフロントが自分でやらなければいけないので、手間がかかります。
設備の不具合対応
共用設備の不具合の連絡を受けた場合でも、やはり自分の目で見て確かめなければ正しい状況判断ができません。
住民さんの言うことだけで対応するのは間違いの基です
業者に頼むべきかそうでないか、業者への状況説明と適切な指示、緊急性の判断を誤るおそれもあるので、現地確認が第一です。
そして修繕が行われる場合も、任せきりに出来ない場合は立会いに行きます。
共用部の鍵の貸し出し
よく使う共用部の鍵は社内で保管しているので、業者さんに取りに来てもらって貸し出し・返却受付の処理を行います。
どうしても緊急で鍵が必要になる場合は、理事長に現地で対応してもらえないかお願いすることもあります。
普段から在宅している理事長だと、阿吽の呼吸でやり取りしやすいですね
文書の配布・掲示・回収
基本的に自分でポスティング、掲示します。
急がない場合は巡回スタッフに任せることもありますが、投函の間違い・掲示する位置(見やすい配置とか)が気になるので、私は自分でやりたい派です。
また、管理組合ポストに郵便物が入っているのかどうか巡回のタイミングじゃなければ分からないので、確認・回収が遅くなってしまいます。
問い合わせの対応
様々な問い合わせに電話で対応するためには、誰より建物のことを熟知している必要があります。
そうでなければ、いちいち現地を確認しないとやり取りが出来ません。
建物の配置、方角など、頭の中でイメージ出来ないと困難です。
写真をとにかく沢山撮っておいて、いつでも参照できるように保存しています。
管理組合の立場から見る「管理員不在」
理事長が相談窓口の役割
住民は困りごとがあると、理事長に直接相談する傾向があります。
理事長に管理会社との橋渡しの役割をしていただけるので、窓口が一本化されてありがたいです。
他にも入居届など書類の受理と保管、トラブル発生時の一次受け付けも、理事長が担当することがあります。
これは何もおかしなことではなく、管理会社に委託していなければ本来は管理組合で行うことですから、本来の姿と言えるかも。(それを管理会社・管理員に委託しているだけ)
住民にとっての管理員不在
管理費の設定金額は低めの傾向です。
理由の一つとして、管理員業務費が巡回清掃・巡回点検に置き換わるので割安だからです。その反面、事務管理費は担当者の負担が大きいため割高にしますが、トータルで管理コストが安いからです。
あと、日常的に住民同士の結びつきが強くなります。
ちょっとした困りごとくらいなら、隣近所・顔見知りの方に相談して助け合いで解決するので、管理会社に相談してくるのは余程のことに限られています。
管理組合の「自治意識」が高まる
ゴミステーションの管理(施錠とか清掃とか)を当番制でこなしたり、照明球切れの連絡、設備の異常やトラブルの初期対応など、住民の自治が行き届いていて町内会のようなイメージです。
管理会社に対応を依頼しても即時対応出来ないこともあるので、簡単なことは自分たちで処理した方が早い、という意識が必然的に高くなるようです。
まとめ
- 管理員が不在のマンションは、小規模マンションがほとんど
- 巡回方式で、清掃・点検が行われている
- トータルの管理コストは安くて、管理費も低めに抑えられている
- 管理会社に任せきりではなく、理事長・住民が自ら問題に対処する場面もある
- 住民の自治意識が高い
住民同士が顔見知りで、お互いに助け合ったり、お茶のみ友達になっていたり、仲が良いマンションが多いです!
意外に悪くない管理員不在物件!(でも担当するのは大変)
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