「管理費」ってどうやって決まっているのでしょうか。
途中で値上げ・値下げする場合もありますが、最初の金額設定がどうやって計算されているのか、私が経験した管理費決定の裏側について説明します。
注)色んな計算方法があると思いますので、一例ということでご参考まで。
1.年間予算の「支出」を計算する
販売前のマンションですから、建物はまだありませんし、見ることもできません。
管理会社に、計画の図面が渡されます。
その図面を見て、共用部分の廊下の面積を計算したり、エレベーターなどの設備の大きさや数を確認したり、植栽の数を確認したり…
設備の細かな洗い出しをしつつ、頭の中のイメージも膨らませていきます。
そこから管理のメニューを作ります。
※「管理会社の仕様書」に限りません。建物を維持するために必要な「お金のかかるもの」の全てです。
この管理メニューに見落としがあると予算が大きく狂ってしまうので、知識と経験が問われます
エレベーターやポンプなど、保守料金の相場があるものは、年間の経費を予測できます。
清掃も、床の面積と材質が計算できるので、1回あたりの定期清掃費用も出せます。
管理員や清掃員も、これくらいの規模の建物ならこれくらいは必要かな?と、経験則で勤務シフトを決めます。
中でも難しいと思ったのは「照明」や「ポンプやエレベーター等の動力設備」の数と大きさをリストアップして、1年間の稼働率を想定し、電気料金を試算することでした。
料金の計算は数式に当てはめるだけですが、あくまで計算式なので「数量を見落としてない?」「この稼働率で合ってるのかな?」と不安を覚えます。
2.年間予算の「収入」を計算する
管理組合の収入にはどんなものがあるでしょうか?
- 管理費
- 駐車場使用料
- 専用庭・駐輪場・バイク使用料
- 上下水道料
- その他の雑収入
4.上下水道料は受水槽のマンションだけです。直結給水方式が主流ですから、計算することは少ないです。
3.各種使用料や5.その他の雑収入も、それほど大きい金額ではないので、相場や経験則で決めてしまいます。
重要なのは、1.管理費と2.駐車場使用料です。
この2つで、年間支出額に相当する収入を埋めることになります。
しかし、単純な計算だけで決められないのは、売り主(デベロッパー)の意向が強く影響することです。
管理費の安さをウリにしたいんですよね。
駐車場料金も周辺よりもグッと抑えた価格にしたいし。
いろいろな販売上の戦略、思惑があるから、希望の金額に近づけるように調整作業を何度も行います。
3.売り主(デベロッパー)との調整
「支出」の総額が決まる → 管理費と駐車場使用料を計算する と言っても「分かりました、OKです」とは言ってくれません。
先ほどの販売戦略に沿った金額に調整しなければならないからです。
そこで色んな支出の削減案を考えて提案し、仕様と金額の調整を行います。
- 管理員さんの勤務時間を減らして、A パターン・Bパターン・Cパターンならこれくらいの金額に下げられます
- 日常清掃員は毎日じゃなくて週3回に減らしましょう
- 定期清掃の回数は年6回から年3回に減らしましょう
- エレベーターはフルメンテナンスじゃなくPOGにしましょう
- 法定点検ではない項目は、数を減らすか削りましょう
- 共用部分の保険の補償内容を減らして、保険料を下げましょう
管理の品質レベルを落としすぎない、売り主や入居者が満足するラインを探りつつ支出を削ります。
こうやって支出を減らして、ようやく売り主が納得する管理費と駐車場料金が出来上がります。
まとめ
- 年間の支出予算額を計算する
- 住居の専有面積と駐車場の台数から、支出金額に合う料金設定を算出する
- 売り主の意向を聞きながら仕様を見直して、支出を削って、管理費・駐車場使用料金の値段を下げるなどの調整していく
ざっくりと言えばこういう流れで管理費の金額設定を決めます。
1年目は収支の変動が大きいので、赤字でも仕方ないかなと思います。
2年目以降の決算がプラスマイナスゼロ、もしくは少し黒字くらいに収まれば計算通りなので、やった!!と思います。
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