アンケートには民主的、多数決、客観的、みんなの意見が聞けるなど、公平なイメージがあるのではないでしょうか。
どちらかといえばプラスのイメージだから、気軽にアンケートしてしまいませんか?
私の担当している物件すべてに「アンケート専用フォルダ」があるほど、色んなマンションで色んなアンケートが行われています。
でも、アンケートには馴染むテーマ、馴染まないテーマがあります。
この判断を間違って気軽にアンケートを取ると、かえって混乱を招き、決して良い結果にはならないので注意が必要です。
アンケートの目的は何ですか?
アンケートのいいところは「みんなの意見を聞けること」「数値化・可視化できること」です。
住民の意識や傾向を把握したり、賛成・反対をハッキリさせて白黒つけられるので、使い方によっては便利な方法です。
そのせっかくのアンケートで得られたデータを活かすには、アンケートを取る「前」に、集計した結果をいかにして活用するのか、想定しておくことが重要です。
結果が出てから「さあどうしようか?」と考えているようでは遅いです。
だから傾向がハッキリ出やすく(分析しやすいように)、回答しやすい質問を作ることが大事です。
う~ん、理事会じゃ決められない問題だし、とりあえずアンケートでみんなの意見聞いて考えようか?
そのやり方、ダメです!失敗する可能性が高いです!
アンケートはあくまでアンケートに過ぎず、集計結果に基づいてどう動くのか、理事会が決断しなければならないことを忘れないでほしいです。
アンケート書式のポイント
記名式か無記名式か
理由が無い限り無記名が原則だと思います。
でも大抵のアンケートは名前を聞く「理由がある」ので記名式が多くなります。
質問に対する回答が必要、フロアや棟別の傾向を把握したい、回答に責任を持ってもらいたいなど、名前や部屋番号が必要な理由は様々です。
「なんで記名式なの?」と聞かれたときに、ちゃんと理由が答えられればOKです。
まさにその通りだと思ったので、以後、押印欄は一切付けていません。安易だったと反省しました。
選択式か自由記入式か
選択式は結果を数字で明確に出すことが出来るので、結果を明確に把握したいときに使います。
「はい・いいえ」とか「当てはまるものを選んでください」という選択肢ですね。
1つだけって書いてるのに2つ以上〇印つける人。
選択肢の中間部分に〇印つける人(←決められないという意味らしい)。
集計しづらくなるからホント止めてください!
自由記入式は文字通り、好きに意見を書いてもらいます。
予想外のグッドアイデアが出てきたり、意外な人材発掘のチャンスになったりします。
でも集計と入力に時間と手間がかかるフロント泣かせの方法です。
理事会としても、色んな意見に対してひとつひとつ検討しなければならないので、なかなか大変な作業になります。
達筆な人、字のクセが強すぎて暗号のように解読しなきゃいけない人、ご勘弁ください…。
集計した後にすること
結果発表
なるべく早いうちに、集計結果をフィードバックすること。
質問を書いてきた人がいたら、回答すること。
個人的な質問なら個別に、全体に知らせたほうがいい内容ならQ&Aで結果発表に盛り込んで。
アンケートのやりっぱなし、放置、無視がいちばんダメです。
方針表明
集計した結果を基に、今後どうしていくのか? 理事会としての方針、決意表明が必要です。
もし「どうしたらいいか分からない」というなら、それも一つの結論です。率直にそう書けばいいです。
「もう少し検討します(期限を決めて)」や「総会で話し合いましょう」でもいいです。
要は理事会でアンケート結果をきちんと検討して今後のことを考えて結論を出したという姿勢を見せることが大事です。
実 行
アンケート結果で一定の方針を決めることが出来れば、なるべく早めに実行しましょう。
全体の意思が明らかになっているのに慎重になって「総会まで待とう」と時間をかけると、これも反発が起きます。(総会決議が必要な案件なら、早めに総会を開く)
アンケート取って、意見も決まってるのに何も変わらないじゃないか!
なんのためのアンケートだったんだ!
最初から総会で良かったじゃないか!
こう思われるようなら失敗です。
理事会への失望、アンケートの回答率低下、管理組合への無関心化を加速させます。
結 論
- アンケートはやり方次第で毒にも薬にもなります。
- 選択肢を絞れば、意図する方向に回答・世論を誘導することだって出来てしまいます。
- アンケートの結果をどうしたいのか、アンケートを作る前に想定するべきです。
- そういう想定で考えれば、自ずと説明文・質問・選択肢などは決まります。
- 集計結果は、必ずフィードバックして理事会の動きを見せましょう。
私の体験したアンケートの失敗例・成功例の記事も書きましたので、冒頭に書いた「アンケートに馴染むテーマ、馴染まないテーマ」も、何となく分かってもらえるかなと思います。
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