「騒音の苦情の電話です」
この電話取り次ぎが一番ドキッとする、というのは以前も書きました。
そんな中でも、普通とはちょっと違う苦情対応も経験したことがあります。
ケース① 屋上から話し声がする?
上からの騒音なんて、音のクレームではよくあることだと思われるかもしれませんが、電話をかけてきたのは最上階の方でした。
上で誰かが大声を出して騒いでいて足音がするんですよ。
天井裏には盗聴器も仕掛けられているし、見に来てほしい。
最上階…上ということは、屋上ですよね…?
屋上の騒音というと、避雷針が振動する音や風切り音、金物が緩んでガタガタしている音は、起こりえます。
でも、話し声や盗聴器と言われると…あり得ないだろうと思いながらも、私と管理員と役員、ご本人にも立ち会ってもらって屋上を見てもらい、出入り口は常に施錠されていて部外者が侵入する余地は無いこと、設備にも異常が無いことを確認してもらいました。
さすがに盗聴器に関しては室内のことで関知出来ないとお断りしましたが、自分で調査会社に依頼したそうです。
あり得ないだろうと思っても、真っ向から否定しても話が堂々巡りになるだけですした。
まず話を聞いて、第三者(役員)にも入ってもらって、管理会社としてできる範囲で問題ないことを確認してもらうことしか出来ません。
ケース② 管理員がストーカー?
1階に居住している1人住まいの50代くらいの女性からの連絡です。
玄関ドアのポストから、管理員が家の中を覗いているんです。
それにしょっちゅう庭から室内の様子をうかがってるんですよ?
どういう管理員なんですか!?すぐ辞めさせて!
玄関ドアのポストから、中は見えないのでは…?
その他にも、ドアの隙間から手紙を差し込まれたとか(でもその手紙は紛失して手元にない)、インターホンから室内を盗聴されているとか、被害を訴えかけてきます。
管理員に「こういう電話が来んだけどどういうことだろう?」と連絡すると、もちろんキッパリと否定します。
先日なんて、地方の温泉に旅行に行ったのに、管理員がそこまでついてきていたんですよ??
ストーカーですよ!あの管理員は!!
唯一の証拠(?)となる「手紙」も手元に残っていないと言うし、本人の証言のみ。
それも荒唐無稽で、ご本人の思い込みと考えざるを得ないことばかり。
でも本人にとっては現実に被害に遭っていると思っているので、いくら否定しようとも全く聞く耳は持たず納得しません。
離れて住んでいる家族に連絡を入れて、様子を見に行ってもらうようお願いすることにしました。
季節の変わり目に多くなる
因果関係があるのかどうか分かりませんが、こういった変わった電話相談は春先・秋ごろに増えて、夏や冬など寒暖がハッキリした季節に少ないです。(※主観です)
困ったことに、私や周囲の人が聞くと荒唐無稽に思える話も、本人はいたって真剣に助けを求めて相談してきています。
ある人は「家の中に侵入して家具の配置が変わっている」と言ったり、またある人は「何年間も上の階から水が漏れ続けている」と言ったり。
最初の相談の時点ではその真偽は分からず、何度も話を聞いていると「あれ?言っていることが変だな?」と思うようになります。
関わると面倒だし、ものすごく話は長いし、「変わった人」として切り捨てるのが楽です。
そうやって孤立させるのが正しいことではないと思いますが、管理会社の立場で関われることでもありません。
本人と家族の協力が無ければ解決が出来ない
このようなケースの多くは、中高年の一人住まいの方です。
認知症とうつ病は一人暮らしの中高年、特に難聴者に発症しやすい傾向があるそうなので、因果関係があるように思います。
年齢はどうしようもありませんし、一人暮らしを変えるのは難しいことですが、家族の関わりや住民同士の交流が深ければ、早い段階で変調に気づくことが出来るはずです。
しかし、家族と連絡が取れない、協力を拒まれる場合も少なくありません。
ケアマネージャーに支援をお願いするなどの手続きは本人や家族が希望しなければ難しいですが、地域包括支援センターへの相談は本人・家族以外でも可能です。
理事会や住民だけで悩んでいるよりも、早い段階で専門家の知恵を借りるのがベストでしょう。
築年数の古いマンションでは高齢化が進み、決して珍しいことではなくなっていますので、いずれ管理組合としても対応を考えなければならない場面が訪れると思います。
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