「マンションは管理を買え」って誰が言ったの?~調べてみた!

マンションは管理を買え

多少でもマンションに興味があれば、一度は聞いたことのあるフレーズでしょう。

「マンションは管理を買え」

「マンションは管理買え」「中古マンションは管理を見て買え」「中古マンションは管理会社より管理組合を買え」など、多少アレンジされても言っていることは大体同じ。

こんなに広まって定着した言葉だから、きっと影響力や権威のある人の発言なんだろうなあ。

いつ、誰が言い出したんだろう?

初めて登場したのはいつ?ネット上に登場したのは…

まずはいつものようにGoogle検索。

Googleの「完全一致」の条件で検索したところ10,900件がヒットしました。
次にbingの検索結果は6,930件

Googleが始まったのは1996年、日本語対応が2000年だそうです。

期間を「2001年12月31日以前」に絞り込んで調べてみたところ…

掲示板の書き込みで2001年10月に登場していました(一部固有名詞を削除しています)

2001年10月で「教訓」と言われるくらいだから、もっと前から広まっていたのだろうと推測しました。

マンション管理適正化法が2000年(平成12年)だから、その頃か、もうちょっと前かな?

出版物を調べてみた

Googleの検索では2000年以前の情報を探すのが難しそうなので、出版物を探してみました。
Amazonで検索してみたところ…。

1990年(平成2年)2月1日発売の書籍に登場しています!

「最後のマイホーム獲得マル秘作戦」という本で、表紙に一戸建ては「土地」マンションは「管理」を買え!!というキャッチフレーズが使われています。

著者は石井勝利さんという経済評論家で、今も活躍されています。

ということで、面白そうなので買ってみました!

本書の中で「マンションは管理を買え」に関する記述は次のようなものです。

マンションにとって一番大事なことは何か。それは、管理状態が良いかどうかということです。これは新築でも中古でも必要なことです。
レンガタイル貼りであるとか吹き付けであるというようなことも大切ですけれども、管理人が常駐していて、しかも管理組合があり常にそのマンションの管理保全ということについて考えているマンションを買うことが必要です。
管理組合がしっかりしていますと、排管や外壁の吹き付けやさまざまな点について常に、資金をプールしながら、これを保修するというような方法をとっておりますし、管理人が常駐していますと、外部からの侵入者によってマンションそのものが荒らされるということもありませんし、何かことづけを頼むにしても、管理人が常駐しているということは、非常に良いわけです。
また、地震等があって、温水器が壊れたとかガス器が壊れたといったときも、管理人に頼みますと、飛んできてすぐに対応してくれます。
そのように管理人が常駐しているということは、今やマンションの一番大事な点です。
(以下略)

「最後のマイホーム獲得マル秘作戦」トクする物件選びのポイント③マンションを買うならば「管理」を買う より抜粋。原文ママ。

多少「ん?」と思うところはあっても、基本的な考えは今と変わらないのではないでしょうか。

むしろそれ以外の記述が大変興味深いです。

バブル崩壊の前、本書は日本経済の絶頂期に書かれたので、今の常識は全く通用しません!
当時と今のギャップの対比を考えながら読むと、すごすぎて面白いです。

バブル世代の人々イラスト
こういうイメージの時代
  • 定期預金の年利は4~5%、大口なら6.6%
  • 住宅ローンの金利は4.55%~7.80%
  • ステップ返済(返済額が10年目から大幅に上昇する返済)、ボーナス払いを使え
  • 2,150万円で購入した家が1億円に値上がり

こういう話がゴロゴロ出てきます。

わらしべ長者かな?
目次だけで既に面白い

いろいろおかしい!
でもそこがいい!

図書館を調べてみた

閑話休題。

市販で見つけられた一番古いのは、さきほどの本でした。
それ以外にも出版されたものはないか、東京・大阪等の図書館のHPで検索するも該当なし。

そこで国立国会図書館のサイトで検索してみました。

すると、新経済知識社の「経済知識」という雑誌がヒットしました。

出版年度月は1980年(昭和55年)6月です

「高層住宅管理業協会の誕生」と共にマンションは管理を買えというタイトルが!

記事の内容は著作権の関係で、ネットでの閲覧は出来ないとのこと。
国会図書館に行かなければ閲覧が出来ないです…残念。

もしかしたら高層住宅管理業協会が発足した当時のスローガン?
それとも新経済知識社の記者が考えた??

マンション管理業協会(旧称:高層住宅管理業協会)のHPの「協会の概要」に成り立ちや目的など記載されていますが、このフレーズに関する記述はなく、出所は分かりませんでした。

ということで可能な限り調べた結果、今から40年以上前の1980年に「マンションは管理を買え」のフレーズが誕生したという結論にします!
(いやいやもっと古いぞ、という情報あれば教えてください)

「マンションは管理を買え」は変化している

確認できただけでも40年以上の歳月が経過しています。
色んな法律や時代背景も変わっていながら受け継がれ、定着しているフレーズですから、真理なんだと思います。

清掃が行き届いているとか、修繕が計画どおり行われているとか、管理組合が機能しているとか、マンションに求める価値観は、昔も今もそう変わっていないでしょう。

でも時代と共に管理会社や管理組合も変化(進化)していますので、このフレーズをそのまま当てはめると、私自身は少し違和感を覚える言葉になっていると思っています。

管理組合は、管理会社を始めとして色んな専門業者にお金を払って管理業務を委託しているわけですが、「マンションの管理は自分たちが作るもの」という視点外すことは出来ません

「買ったから終わり」「お金を払ってあとは人にお任せ」という考えでは、他人事の考えになってしまい、業者との付き合いも上手くいきませんし、周りの住民との人間関係に溝も出来るでしょう。

住民さん
住民さん

誰の金で給料が支払われていると思ってるんだ!

住民さん
住民さん

高い管理費を払ってるんだから、それくらいやって当然だろう!

ちょっと長くフロントしていれば、この種の暴言を吐かれた経験あるんじゃないですかね。

先人達が築いた「管理の価値」を買ったなら、次は自分たちが引き継いで成長させていくもの!

コトバの歴史を遡ってみた結果、マンションは管理を買え!そして自ら成長させよ!というのが今に合ったフレーズかなと思いました。

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