説明会で5時間不動の正座をさせられてから、超個性的な理事長を担当した話

正座

古い話なのでもう書いてもいいかな、という個人的な体験談、思い出話です。

特に参考にならないと思いますが、たまには管理会社ならではの苦労談でも。

よくある説明会のはずが…

とあるマンションで、長期修繕計画の説明会を開催することになりました。

事前に資料を印刷して全戸に配布し、当日は私と上司の2名が出席しました。

一癖も二癖ある管理組合で、議論好きというより攻撃的な人が多く、十分に警戒していたはずでした。

開催あいさつと同時に挙手からの集中砲火。そして大炎上

説明も始まらないうちに、「重鎮」のひとりが手を挙げて発言を求めています。

重鎮
重鎮

今日は一体、どこのマンションの説明会なんだ!!

いきなり怒ってるよ…どこのマンションって、何を言ってるんだ??

話しを聞いてみると、配布した資料のマンションの「住所」が間違っていました

他のマンションのデータを上書きして作ったとき、住所の修正が漏れ、更にチェックもすり抜けてしまっていました。(←設計部門のミスなんだ!)

マンション名や内容は間違っていません。間違っているのは住所だけです。

住所が違うからウチのマンションの資料じゃない!という主張のようです。

重鎮
重鎮

こんないい加減な資料が信用できるか!説明なんか聞けるか!

ギャーギャーギャー!!と周囲も同調し始め、一斉攻撃が始まりました。

ええ・・・間違ったのは完全な落ち度だけど。
そこまで言うなら、事前配布してるんだから連絡くれればいいのに。
わざわざ皆の前で騒ぐなんて、意地が悪いな。

???
???

責任者はだれだ!役職は何だ!

上司
上司

責任者は私です。設計部の部署長です。

???
???

そんなことは聞いてないんだよ!役職はなんだ!!聞かれたことに答えろ!

こんな雰囲気で始まって5時間一方的に責められ続け、私も知らない時代の不満までぶちまけられ、正座を崩せず、怒られ続けました。

元々は住所を間違っていたことが発端なので、お詫びして、別の日に説明会をやり直すということでこの日は解散しました。(しばらく立てませんでした)

正座で足が痺れた人のイラスト(喪服の男性)
5時間連続正座、後にも先にもこれ一回

そして後日の仕切り直しの説明会は、うそのように穏便に終わりました。

いったいあれは何だったんだ・・・

時間は経過し、総会前の役員選び

順番制が崩れていたので、役員候補選びに大変苦労するマンションでした。

とにかく「揚げ足を取って、人を責める雰囲気」の管理組合ですから、誰も役員をやりたがりません。

役員選びのルールは明確に!
役員
役員

説明会で声が大きかった人いたじゃない?
この前入居したばかりだと思うけど、あの人に役員やるように頼んでみてよ。

まじかー!見た目もめっちゃ怖そうだったじゃないかー!

当時は「役員からの依頼を断る」という術を知らなかった私。

言われるがまま、役員就任を依頼するために電話しました。

あの…役員やってもらえませんか?(断ってくれ!)

<span class="bold-red">新</span>理事長
理事長

いいよ、理事長やればいいの?

あっさり快諾して、理事長になってしまいました。
自分のこの先の1年、終わったな…と思った瞬間。

黒塗りの高級車で若い衆お若い男性がお迎えにいらっしゃるんです。
二回り以上、お若い奥さんがいらっしゃるんです。
ハッキリ言ってめちゃくちゃ怖かったです!
なぜ怖かったのか?全然分かりませんけどね。

新理事長体制、始動

私がマンションに行くと、エントランスまで新理事長が出迎えてくれます。

にこやかな笑顔で、きっちり斜め45度の角度でお辞儀して、ご苦労さまです!!と元気にあいさつされます。そして栄養ドリンクをくれます。

新理事長
新理事長

この前はごめんね。
入居したばかりで事情分からないし、みんなが怒ってたから、悪い管理会社だと思ったんだよ。
でも色々な人から話を聞いたら、おかしいのは住民の方だね。
管理会社さんは悪くないよ。大変なお仕事だね。
いつもご苦労さまです。

めっちゃ優しくていい人じゃん‥‥
(でも事情が分からなくても攻撃するのね)

そして新理事長は、マンション全体を見回ったり、年配の方に優しく声をかけたり、親睦会を企画したり、自分が正しいと思うことに精力的に取り組むのでした。

でも住民から、自分の意に反する意見が出たときは・・・

理事長、言葉は丁寧なのに目つきがめちゃくちゃこえーー

そして管理会社を批判する意見が出た時は、たとえ管理会社に非があっても全力で私の味方になって守ってくれました。

味方としての援護射撃が強すぎてめちゃくちゃこえーー

そして次第に、住民の間で争いを避ける雰囲気が広まり、平和なマンションへと変化していくのでした。

これが抑止力ってやつなのか…(たぶん違う)

印象に残ったこと

ここに書ききれない(書けない)エピソードもありますが、私にとって強い味方でした。

なにより、管理会社を小間使いのように下に見る人が多い中で、専門家・パートナーとして扱ってくれている気がして、私の中に強烈な印象を残しました。

残念なのは、何のお仕事をされているのか、奥さんとの出会いなど、プライベートな素性まで聞けずじまいだったこと。

あの雰囲気で聞ける人がいたら尊敬しますけど…

教 訓

誠実に対応していれば、見ている人は評価してくれます。

あの理事長も、人の意見に耳をかさない頑固さはありながら、私からの提言には、仮に自分の意に沿わないものでも(不服そうながら)汲み取ってくれました。

きっと管理会社としての立場、知識、経験を尊重してくれたんでしょう。

だから私も、最低限でしたが言うべきことを言えたと思います。

後にも先にも例が無い個性的な理事長でしたが、貴重な経験でした。

住民の理事長に対する不平不満を聞かされたり、時には間に入って意見を調整したり、なだめたり、苦労もかなりありましたが。

今でもマンションの近くを通ると、当時の出来事を思い出す忘れられない話でした。

コメント