水漏れは「お互いさま」
水漏れ事故は、いつ誰にでも起きる可能性があります。
被害者にも加害者になる可能性があるというのが「お互いさま」と言われる理由ですね。
だからといって加害者になってしまった側も「お互いさま」を当たり前にして対応を怠ると、思わぬ大きな揉め事に発展するかもしれません。
漏水の原因は、うっかりミスの場合(人為的な原因)、給水管などに穴が開いた場合(設備的な原因)があります。
壁や床下の給水管のピンホール(小さな穴)など、目に見えない場所で起きてしまった漏水は、法的には所有者が加害者と言うことになるものの、「自分の責任ではない」と考えて心理的に加害者になり切れない方もいます。
室内の設備ですから修理費用は自己負担で、管理組合の保険も使えないので「自分も被害者」という意識を持ってしまいます。
自分も被害者という気持ちは分かりますが
水漏れ事故があったら、何より優先してほしいのは被害者の保護、原状復旧のため円満に解決することです。
直接ウチに文句を言ってこないし、大したことはなかったんでしょ。
保険で処理するから、あとは管理会社や保険屋に任せておけば大丈夫だよね。
このように油断していると、実はそうではないかもしれません。
上の人は様子を見に来るでもなく、謝りにも来ないんですよ。
どういうつもりなんでしょうね?
このように、管理会社である私たちには本音で不満を話してくれることがあります。
ですから私たちが上階の漏水調査を行って原因を突き止めた場合には、「強制するものではありませんが…」と前置きしたうえで
下の方に一言でも、声を掛けに行った方がいいですよ。
この後には示談も控えていますし、今後の上下階のお付き合いもありますから。
当事者の関係なので出過ぎたことは言えませんが、こじれないように出来ることはやった方が良いと思い、アドバイスします。
こじれた関係は加速する
元々上下階の関係が良くない場合は、被害者側も「ここぞ」とばかりに攻撃心が芽生えることがあります。
それは、保険で到底認められない被害の請求のような形になって表れ、乾けば何ともないような場合でも、ユニットバス丸ごと交換を求めることも。
要求された加害者も、心の一部に自分も被害者という気持ちもありますし、過剰な要求だと感じると強い反発心を抱きます。
コンクリートを通ってきた汚れた水を被ってしまったのだから、もう気持ち悪くて使えませんよ!
保険を使えないなら、差額を加害者が補填すればいいじゃない!
こんなときに無茶な要求するなんてまるでクレーマーじゃないか!
私だって修理費がかかって大変なのに!
こういうのはお互いさまでしょう!
水漏れは一度きりとは限らない
悪いことに、同じ部屋で、二度・三度と水漏れが起きる場合があります。
水漏れの原因が人為的なものであれば、うっかりしやすい人なら同じようなミスを何度も起こしてしまうでしょう。
例)洗面台で洗濯して水を出しっぱなし、お風呂の排水を詰まらせて水を出しっぱなし
設備的な原因でも、通常は漏れたところだけ修理すると思います。劣化は全体的に進んでいますから、他の給水管、給湯管、排水管、もしかしたらビルトインの食洗器、トイレのウォシュレット、ボイラーから水が漏れることだってあります。
前にも同じような漏水があったんですよ!!
被害者から話を聞いたら10年以上前に水漏れ事故が起きていて、2度目ということで怒りが増幅されたということもありました。
内装は保険で直してもらえるとはいえ、被害者としては心理的な負担が大きく、心にずっと残っているということだと思います。
いっそ、この機会に関係を良好に
水漏れが起きた時の対応いかんによって「災い転じて福となす」ことが出来れば、むしろ良好な関係になれるかもしれません。
といっても難しいことではなく、まず早めに謝りに行くこと、その後で水漏れの原因を説明したり、修理した結果を説明したり、出来る範囲で構いません。顔を合わせて話すことです。
何度も顔を合わせる相手ほど、悪い印象は持ちにくいものです。
管理会社や保険会社に任せっきりにしていると、冒頭のように「一度も謝りにも来ない」と感情問題のトラブルに変化します。(こうなると修復は困難です)
誠意をもって対応すれば、逆に好印象を持たれることだってあります。
そうしておけば、仮に2度目の漏水が起きたとしても、被害者の気持ちはいくらか和らぐでしょう。
ついでに騒音問題の本質も「感情」の問題ですから、漏水事故をきっかけに顔見知りになって「信用できる人だ」と感じてもらえれば、しめたものです。
クレーム対応に成功したときに、かえって信頼関係を築くことが出来るのは、私たち管理会社の仕事でも同じことが言えます!
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