自分のマンションが「管理組合法人」なのか「管理組合」なのか、その理由をご存知でしょうか。
管理組合「法人」の場合、決算書を見れば大体の理由がわかると思います。
法人化の最大のメリットと目的は「不動産を所有すること」です。
ですから、不動産を所有していれば固定資産税の支出があります。
もし、固定資産税を払っておらず、不動産を持っていなければ、なぜ法人化したのか理由を突き詰めて考えてみると、意外に法人である必要はないかもしれません。
「管理組合法人のメリット、目的」等のキーワードで検索すると、いろんな解説の情報がヒットします。でもそこで説明されている情報は、現場のフロントの目線で考えると「そんなメリット本当にあるの?」と疑問に思っています。
それって管理組合法人のメリット?
- 法律関係が明確になる(不動産を所有できる)
- 信頼性が高まり、取引が円滑に行われる
- 融資を受けるときに有利な条件になる
- 訴訟を提起するときに法人が原告になる
- 法人名義の銀行口座を持つことができる
- 住民の意識が高まる
様々なサイトで「メリット」として挙げられています。
では、普通の管理組合ではこのような「メリット」は存在しないのでしょうか。
どうしても法人でなければ、得られないことなのでしょうか。
普通の管理組合でも、法人と変わらず運営できてるんだけどなあ
実務で感じる「管理組合法人」と「管理組合法人じゃない組合」の違い
業務を行っているフロントの目線では「不動産を所有できる」以外、普通の管理組合との差を感じません。
先ほど「法人のメリット」として挙げられていた点について考えてみると‥‥
- 取引先の業者から、法人格で取引条件に差を付けられたことがありません。見積書の宛名で「管理組合」「管理組合法人」も、しょっちゅう間違われます。「法人か法人じゃないか」を気にしていないからでしょう。
- 融資の金利は全く同じです。審査の際の書類も殆ど同じです。ただし法人ではない場合、理事長個人の印鑑証明と実印と本人確認書類が求められます。
- 訴訟の場合、理事長が訴訟の窓口になります。管理組合法人といえど同じです。もっとも、弁護士に頼むので、法廷に立つことは殆どないです。
- 銀行口座は「〇〇管理組合法人 代表理事 ××××」のように理事長個人名が入ります。理事長(代表理事)が交代すれば、名義変更の手続きが必要です。
- 住民の意識が高いかどうか、法人と全く関係ありません。
すべてのメリットやデメリットを網羅しているわけではありません。
細かいことを挙げれば、電話回線やインターネットの名義など、法人名義になっている場合もあると思います。
法人は解散できるし、固定経費の削減、手間の削減になる
総会で4分の3以上の特別決議を経て、管理規約を改正すれば、法人は解散できます。
フロントもあまり経験していないと思いますので、司法書士に聞けば詳しいでしょう。
解散の手続きは司法書士に依頼して、事後処理で面倒なことが多少あるかもしれませんが、一度きりの手間です。
不動産を持っていない・持つ予定がないなら、法人の必要があるのか議論してもいいのではないでしょうか。
その理由は「コスト」と「手間」です。
コストがかかっています
- 法人税・・・・・・2万円くらい
- 役員変更登記・・・4万円くらい ※規約の任期によって2年~3年ごとの場合も
法人を維持するため毎年6万円以上の経費がかかっているかもしれません。
手間がかかっています
役員が交代すると、様々な変更登記の資料を用意しなければなりません。
注意したいのが「代表理事を選任した理事会の議事録」です。
署名人「個人の実印」を押印して、「印鑑証明」を添付しなければなりません。
最近は役員の要件を拡大して、区分所有者の配偶者や、同居の親族も役員になることがあります。
区分所有者本人なら、マンションを所有するために実印登録していて、印鑑証明も取ることが出来ますが、親族はどうでしょうか。
実印登録していない方が理事になる場合もあり得ます。
議事録署名人になったけど、印鑑登録していないから印鑑証明が取れない!
もし配偶者や親族で、印鑑登録していない方が議事録の署名人になっていると、手続きがストップしてやり直しですから、また手間が掛かります。事前に確認しなくてはいけませんね。
管理組合の主体性はどこから生まれるの?
申請書と添付資料を用意して、法務局に出すだけでしょ?
司法書士に頼むと何万円も掛かるから、管理会社でやってくださいよ。
報酬が発生していなくても、司法書士法に違反するんです。
「住民の意識が高まるから管理組合も法人格は必要」という理由なら、自ら登記の申請をするか、司法書士と相談して手続きするべきではないでしょうか。
でも実際は、登記に必要な資料の準備、印鑑受領など、フロントに丸投げがほとんどです。
管理組合法人の意義の一つが「管理組合の主体性」ならそんなことにはならないですよね。
司法書士も、管理会社に資料を要求してくるんです。
顧客は管理組合なのに、言いやすいところに頼みにくるんです。
と言っても、ここまではフロントマンの愚痴に過ぎません。
頼まれたら、やれる範囲のことはやります。
でも、管理組合の主体性が大事だというなら「なんとなくの管理組合法人」ではなくて、本当に法人が必要なのかどうか、議論してみる価値があるのではないでしょうか。
主体性があるなら、管理組合法人でも管理組合でも、組合運営に変わりはないはずです!
法人でなければならない理由って、不動産所有以外にありますかね?
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