管理会社の仕事のひとつとして、さまざまな見積もり取得があります。
管理組合から見積もりを頼まれて、こちらにお任せという場合は、基本的に自分が懇意にしていて、気心の知れた業者に声をかけるようにしています。
多少の無理もきいてくれるし、アフターも安心だし、変な誤魔化しがなく信頼できるし、何よりやり取りがスムーズで自分の仕事がやりやすいからです。

修繕見積もりの価格は、依頼の内容によって数万円~数百万円まで様々です。
それが理事会に見積もりを出したとき、第一声で「高い!」と言われると、すごくがっかりします。
「高額」と「高い」は似て非なる言葉
- 高額・・・・「沢山お金がかかる、高価なもの」
- 高い・・・・「相場から見て高額なもの」
さて、さきほどの「高い」はどちらの意味で言ったのでしょう?
きちんと相場を把握した上での言葉だったのでしょうか?
見積もり取るのは手間ひまかけています
見積もり取っておいて!の依頼は電話一本で済みますが、見積もりを取るのは、見えない手間ひまがかかっています。
- 依頼内容を業者に説明して、対応できるか確認
- 現場調査の日程を調整
- 調査に立ち会って、修理内容の指示と打ち合わせ
- 提出されるまでの進捗管理(提出が遅ければ催促)
- 見積書を受領
- 依頼通りの内容かチェック、間違っていたら修正指示
- 専門用語、施工方法、段取り、住民への影響有無、納期、工事日数など、想定質疑応答
- 最終提出版の見積書を受領、チェック
- 理事会への説明のため写真整理と説明資料を作成
これらの工程を経て、理事会に提出しています。
理事会では最後に提出された見積書の金額に注目するので、冒頭のような反応になるのでしょう。
手元に届いた見積もりの後ろには、複数の人間・複数の工程が関わっていることを知ってほしいです。
相見積もりを頼むこと
「あと2、3社見積もり取って~」なんて気軽に言わないで・・・・・
たしかに、いろんな業者の、いろんな金額を見るのは楽しいですけど!

もし簡単に何社もの見積もりがあっという間に出そろってきたら、出来レースを疑っても良いと思います。
真面目に見積もりを取るなら、1社1社にさっきの手順を踏まなければならないのです。
見積もりの比較で最低限チェックしたいことがある
見積もりの項目は、各社バラバラです。会社の考え、見立てがあるので仕方がないことです。
これを完全に統一させるのは無理だと思ったほうがいいですね。

A社の金額だけ消して、B社に見せれば、内容を揃えることが簡単じゃない?
もしこのやり方で、A社の見積もりの「中身」が間違っていた場合。

B社に発注してトラブルが起きても、責任を取ってくれないかも。
管理組合が仕様・内容を指定した、と主張する可能性があります。
そこで、「A社の見積もりは参考にして、B社の責任で積算してください」という方法もあります。
でもこのやり方はA社の積算の労力を盗むことで、道義に反すると思うんです。

ウチの見積もりも、もしかして他社のために利用されるのでは・・・・?
フロントと、A社・B社との協力関係にヒビが入りかねず、今後の仕事がやりづらくなるんです!
これはかなり切実で深刻な問題です。
- 使っている材料は求めているものか(分からなければ質問する)
- 数量は同じか、同等か
- 一方にあってもう一方にない項目は何か
- 有効期限、見積もり条件など、特別な条件が付いていないか
必要な相見積もり
それでも「高すぎるんじゃない?」と感じたり「妥当なのかどうかわからないけど高額だから1社だけはまずいな」と思ったなら、遠慮なく相見積もりを頼んでもOKです。
フロントも、理事会がどういう意向で依頼しているのか分かりますので、きちんとした相見積もりを手配するために動きます。
どうしても信用できない、談合や出来レースを防ぎたい、ということなら、理事会が独自に見積もりを取るのもOKです。
こういう真剣なやり取りがあれば、見積もりに参加してくれる業者や、理事会とフロントの間に緊張感も生まれるし、結果的に信頼関係が育っていくと信じています。

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