管理費の滞納~「真似してはいけない督促の事例3選」と督促の考え方

債務

マンションの問題として必ず挙げられるのが滞納問題。

でもひと昔まえに比べると、最近はずいぶん減った印象があります。

データによると、競売の件数は右肩下がりで減少しています。

2008~2009年ごろ、リーマンショック・サブプライムローン問題の影響で増加した年もありましたが、それを除くと基本的に年々減る一方です。

競売のデータ
東京・新宿の不動産問題研究所では、住宅ローン返済にお困りの方へ「情報提供」と「任意売却サポート」を【無料】でご提供しております。お気軽にご相談ください。

裁判所の統計データから集計した、競売のデータを引用させていただきました。
「担保不動産競売」は抵当権を実行したもの。「強制競売」は訴訟を通じて強制的に売却したもの。

このデータは、大口の滞納者が減っていることを示すのではないでしょうか。
金利が低下しているのと、無理なローンを組まなくなったのと、任意売却(競売になる前に自分で売る)が増えたからだと推測します。

バブルのころの住宅ローンはすごかった

これは個人的な経験すが、1990年前後に竣工したマンションは競売が多かった印象があります。

1990年前後というと住宅ローンの金利がMAX8%超の時代です。

もしこの時代に35年固定金利で組んでいたら・・・・恐ろしいですね。

普通の感覚なら、途中で借り替えして負担を軽くしようとします。

でも追い込まれた滞納者は、そういう改善の手立てすら打とうとしません。

自暴自棄の心理状態に陥って放置してしまうんです。

無気力な人のイラスト(男性)
競売になるのを待つだけのように見えました

他にも、段階的に返済額が上がっていく恐ろしいローンもありました。

「金利以上に昇給して、所得が上がり続けるだろう」という前提のローンです。

どちらも今じゃ考えられませんね。

「弁護士から、競売になるまで滞納管理費を払うなと言われてるんです」と答えた滞納者がいました。当時はふざけるな!と思いましたが、依頼者のためのプロとしてのアドバイスだったんでしょう。(迷惑ですが)

標準管理委託契約書に定められた督促業務

話しを今に戻して、標準管理委託契約書に定められている督促方法は電話・文書・自宅訪問の3つです。

督促状を投函 ⇒ 電話で督促 ⇒ 自宅を訪問 の順に行うのが一般的だと思います。

督促業務の期間は3ヶ月~6ヶ月(会社によって異なる)で「業務を終了」します。

ここはよく質問されるところですね。

役員
役員

6ヶ月経ったら、管理会社は督促に協力しなくなるの!?

そういうわけではなく、あくまで業務範囲としての線引きです!

回収するまで管理会社が督促し続けるのではなく、区切りをつけるための条項です。

督促しても回収できない場合でも、弁護士に相談して法的措置を実行するなど、その後の対応を理事会と協議しますので、引き続き回収に向けた協力をします。

そういう主旨だということを説明すれば、大体の方は納得してくれます。

ここからが今日の本題で、今なら絶対にやらない督促方法をご紹介します。

事例① 草むしりで待ち伏せ

文書も、電話も、自宅訪問も、全く無視する滞納者Aさんでした。

連絡を取る手段が全くありません。

管理員さんの情報によれば、自営業で昼間にマンションに戻ってくることがあるそうです。

周囲に注意を向けて、常に警戒している様子とのこと。(他にも借金取りが・・・?)

そこで、管理員さんと一緒に玄関周りの草むしりをしながら待ち伏せすることにしました。

マンションの周りも滞納もきれいになるといいな

管理員「あ!Aさん来た!!」

私「どこどこ、どれ!?」

すぐにAさんを掴まえて「滞納金払ってください」とお願いしました。

掴まえた後のことは何も考えておらず、出たとこ勝負だったにもかかわらず、全額が支払われました。

完全にラッキーです。

そしてその数か月後、競売手続きが始まってAさんはマンションを手放しました。

なんであのとき、払ってくれたのかは分かりません・・・。

夜討ち朝駆けのような待ち伏せは、意外にテンションが上がることを知った出来事でした。

事例② 糾弾会

タイトルからもう危ないですけど…

理事会に滞納者のBさんを呼び出し、役員が取り囲むような配置で座らせました。

そして、全方位から非難と糾弾が始まります。

攻撃役と懐柔役に分かれ、強く責めたり優しく諭したりするんです。

住民同士なのになぜそこまで・・・

あまりの出来事に私もショックを受け、ただその様子を眺めることしか出来ませんでした。

同じ住民同士で、そこまでする必要があるのか・・・・

数か月後、Bさんは任意売却でマンションを手放すことになりました。

もちろん、十万円も滞納して、督促も無視し続けたBさんが悪いんですが、集団心理の恐ろしさを目の当たりにした出来事でした。

役員と滞納者が面談することを否定はしませんが、努めて冷静に話さなければ、重大な人権侵害になりかねません。

事例③ ライフラインストップ

これもタイトルから「アウト」だと思いますが、ライフライン、つまり水道を止めた事例です。

誰もが思いつくし、規約にも「できる」と書いてたりしますが、実行する人はまずいません。

督促のあらゆる手段を尽くし、法的措置も実行し、他に解決する手段がない段階になって、ようやく「グレー」くらいの判断です。実際にやったらダメなやつです。
逆に相手側に訴える理由を与えるかもしれません。
つまりこれも人権侵害の疑いがあります。

水道や電気、暖房用の灯油・ガスなど、命に関わる「ライフライン」をストップさせることは、滞納しているからと言って、素人の判断で気軽にやっていいことではありません。

蛇口からポタポタ垂れる水のイラスト
水が止まると生きられません

それくらい厳しい話なのに、役員がチェーンと南京錠を買ってきて、水道のバルブをぐるぐる巻きにしてカギをかけてしまいました。
さらに玄関ドアに張り紙までしたのです。

即、本人から連絡が来たので、役員にお願いして開栓してもらいました。

この一件に相当ショックを受けたらしく、任意売却でマンションを手放すことになりました。

これは同じ住民同士で行われた出来事です。

その後の総会で、滞納が減少した実績を誇らしげに報告する役員を、私はどうしても冷めた目でしか見られませんでした。

なぜそこまでやったのか?

②の事例も③の事例も、役員が入れ替わったとき、あまりの滞納の多さに新役員が「前理事会の怠慢だ」と責めたんです。

その反動のせいか、極端で過激な督促をするようになってしまいました。

誰も止める人は無く、理事会の総意として実行していたことに集団心理の怖さを感じました。

今はそんなこと、絶対にやりません!

今の督促は、事務的に文書・電話が中心です。
自宅訪問も、余程悪質なケースでしか実行しません。(その理由は次に書きます)

①の待ち伏せは、場合によって今でもやるかも・・・・

面談・話し合いは諸刃の剣

顔を合わせると「督促している」という感じがします。

「話せばわかる」というくらいですからね。「やった感」があります。

でも、その効果には疑問があります。

もちろん支払いに応じてくれるケースもありますが、可能性は高くないと思います。

理事会に呼ぶ場合も同じことが言えるんですけど、滞納者と会話したり、事情を聞くことはおススメしません。

「払えない理由」をいくら聞かされても1円もまけられないし、期限を延ばしてあげる権限もないからです。

自分のお金(債権)じゃないから、みんなのお金だから、譲歩が出来ない

払えない理由を聞いて事情を知り、同情してしまったら、その後の督促がまともに出来なくなります。

話し合いで聞きたいのは、いつまでに、いくら払えるか完済できるかそれだけです。

それ以外に話し合いの意味はありません。

まとめ

今回はずいぶん冷たい書き方もしましたが、管理組合の督促は事務的に行うものだと思います。

過激な督促をしたり、事情を知って情が入ったり、それが良い結果を招くとは思えないのです。

相手のあることなので、どんな督促方法が有効なのかやってみないと分かりません。

でも、行き過ぎた督促や、道義に反する発言などをしないこと。

滞納が解消された後も、組合員としての関係が続くことを忘れないようにしたいです。

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