来客用駐車場の管理いろいろ~トラブルが起きる理由と対策を考えてみる

来客駐車場

前回に引き続き、来客用駐車場に関する話題です。
来客用駐車場をめぐるトラブルはとても多く、どこでも通用する決定打は見当たりません。
ルールでがんじ絡めにするのがいいのか、それとも入居者のモラルを信じて任せるべきなのでしょうか。

色んな試行錯誤が繰り広げられていて、それぞれに合ったやり方を模索しています。
中には上手く機能している方法もありますのでご紹介します。

来客用で起きる問題はいつも同じです

  • いつも同じ車が停まっている
  • 宿泊利用している(連泊で利用している)※有料で許可の場合を除く
  • 自分の契約車両を来客用区画に停め、来訪車両を自分の区画に停めさせる(場所取り)
  • 行き先を台帳に書かない、来客用駐車カードを表示しない
  • 予約制なのに勝手に停める

どこでも共通しているということは、来客用駐車場の仕組みそのものに問題があるということなのかな?

なぜこのような問題が起きるのでしょう?

入居者(来訪者)がルールを守らない、またはルールを知らないのどちらかです。
違反した人に注意すると、色んな言い分が返ってきます。

  • 戸数の割に来客用区画が少ないのが悪い
  • 近くにコインパーキングも無い、どこに停めればいいというのか
  • 管理員さんが停めてもいいと言った
  • 看板が見えなかった、分かりづらい
  • そんなルールがあることを知らなかった

「それを言われてどうしろと…?」というものもありますが、中には改善のヒントにつながる場合も。

解決策を考えて試行錯誤しています

細則などを作って、一定のルールを設けることは必要です。
違反者に注意するにしても、根拠が必要ですからね。

しかし、ルール違反のバリエーションはとても豊富なので、細則で網羅するのは難しいです。
突拍子もないことをする人がいるんです。
理事会の裁量で決められることを多くしておかないと、対応しきれません

さっきの例でいうと「予約のための場所取り」のような。
よくそんな発想するなあと思うことが沢山あります。

ルールを固めすぎると、違反者が大量に出てくるので、取り締まりが大変になります。
基本は利用者のモラル、善意を信じたいのです
そして、少しルールからはみ出ても許容するくらいのゆとりが欲しいです。

周知徹底+利用者はルールを守っていることが分かるようにする

①看板を設置する

ちょっと大きすぎるのでは?と思う位でもいいです。
夜に停める人もいるので、見落とされないように明るさにも注意します。
でも伝えたいことが多すぎて、文字が多くなって、結果伝わらない。
そんな看板にならないようデザインに気を付けましょう。

注意事項が多すぎて文字だらけ(読みません)

来訪者の立場になって動線を考えて、エントランス・掲示板・エレベーター等、必ず通る場所に掲示することも必要です。

②台帳に記入してもらう

管理室のカウンターなどに「来客用駐車場管理台帳」なるものを置いて、利用者に記入してもらう方法です。

これは、私はあまりおススメしていません。
なぜなら利用者にとっては細かな台帳に書くのは面倒ですし(荷物持っていたり子どもがいたりするから)、せっかく書かれた台帳は、後で活用する機会は決して多くないからです。
常習違反者を検索するときくらいでしょうか。
そのうえ、次に出てくる来客用駐車カードと併用して運用したら、面倒さは倍増します。

でも違反者はそもそも台帳にほとんど書かないので、やっぱり役に立たないことが多い・・・

手続きを増やして「面倒」と感じるようでは、ルール違反者を増やしてしまいます。
ルールを守ってもらうための手続きなのに、本末転倒です。

③来客用駐車カード(ラミネートタイプ)

訪問先の部屋番号が入ったカードをラミネートして、全戸に配る方法です。
このカードを来客車の見やすいところに置いてもらう。

難点は、入居者が来訪者にカードを手渡さなければならない、つまり入居者が下まで出迎えに行って、カードを渡すことです。面倒ですよね。
帰るときにも、カードを回収しなくてはなりません。

また、カードを見ても何時から停めているか分からないので、結局②台帳のような記入方式との併用になってしまいます。

④来客用駐車カード(自ら記入タイプ)

用意しておいた「ひな形のカード」に、訪問先の部屋番号、時間、連絡先電話番号など、来訪者が書いて、車中の見やすいところに置いてもらいます。

いい方法だとは思いますが、カードの置き場所がポイントです。
だいたい管理室のカウンターなどに用意することが多いですが、台帳と同じで書いてくれないんです。
なぜなら、面倒だからです。

来訪者の立場で見ると・・・

  1. 車を停める(ロックする)
  2. 管理室にカードを取りに行って記入する
  3. 自分の車に戻る(ロック開ける)
  4. カードを置く(ロックする)
  5. やっと訪問先に行ける

この行ったり来たり、意外と面倒だと思います。
来客用区画って、いちばん管理室から遠い不便な場所にあることもあります。
雨が降ってたり、小さな子ども連れだったりすると、なおさら大変です。

二人乗りベビーカーのイラスト
荷物があって子連れで天候が悪ければ、行ったり来たりするのはかなり大変

来客用区画のすぐ近くにカードを常備したらどうでしょうか?

雨に濡れないボックス(ポストなど)を設置して、その中に来客カードとペンを用意しておくだけでも、ぐっと手間が省けます。
何かを習慣化するには、ひとつでも手順を減らせば成功率が上がると言われています。

何か「習慣化」したいことがあるとします。たとえば「本を毎日読む」でもいいです。
その本は、本棚に戻してはいけません。いつでも手の届くところ、見える位置に置いておきます。
「本棚に取りに行く」「本棚に戻す」という手間を省くことで、習慣化しやすくなります。

⑤予約制

ホームページを持っていて、予約システムに誰でもアクセスできる状態なら最高ですね。
管理もしやすいです。
予約した人には、管理事務所から駐車証を事前に交付します。

弱点は、ホームページなどなく、アナログに紙の台帳で予約管理している場合。
空き状況の確認がとても不便です。
あとは急な来客の対応をどうするか。(空いていれば使ってもいい?一切不可にする?)

予約表は通常、管理員がいるときしか確認できない

細かなルール決めは必要ですけれど、管理できるなら予約制が最も良いと思います。
「管理できる」ということが難しいのですが・・・

地道な広報活動から始めてみる

住民にルールが浸透させることが出来れば、おおむね成功です。
そこに至るまでには時間もかかるし、厳しい態度を示すことも時に必要でしょう。
でも、少しの間違いや悪質じゃないケースには目をつぶる位の寛容さ、余裕は欲しいです。

ルールを厳しくしすぎた時の副作用

厳しくすると、ルールを守る側よりも守らせる側(役員・管理員)の神経がピリピリして消耗します

また、注意された側が(逆恨みして)他の違反者をものすごく監視し始めます。
そして理事会にしょっちゅう投書してきます。
「ルール違反しているのを理事会は見過ごすのか!注意しろ!守らせろ!」と。

凄い怒る人のイラスト(男性)
注意された人が監視する側に変化します

まとめ

  • 基本的には、利用者・入居者のモラルに委ねて運用するものだと思います。
  • そのためには、最低限のルールを作ることは必要です。
  • ルールが細かく厳格すぎると、管理がとても大変になるし、違反者が大量に発生します。
  • 実施する側(来訪者)の立場に立って、分かりやすく周知して、さらに「作業」を少なくしましょう。

揉めるくらいなら「来客用駐車場は廃止します」「有料化します」という姿勢で臨むのも有効だと思います。

「ルールを守りましょう」と繰り返すより「守らなかったら嫌なことが起きますよ」という方が、効果的な注意の方法です。

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