前回、総会で「理事長」が反対することが出来るのか、ということをまとめました。
今回は「理事」が総会で反対することができるか?について考えてみます。
理事長も理事も規約上は「理事」の括りはいえ、立場がかなり異なります。
理事が総会で反対してもいい?
理事が総会で反対出来るか?ということに対する答えは、結論を先に言えば、
「反対出来る」が主流の考えです。
しかし、法律や規約で明確に書かれているわけではないため、「反対出来ない」という主張もあります。
判例をご存知の方は、教えてください!
標準管理規約は?
文字通り素直に読めば「役員は理事会の決議に従う」のが義務です。
理事会で総会に提案すると決めたのだから、決議に従えば反対できないのでは?
理事会に「閣内不一致」は当てはまるか
内閣になぞらえ、役員が反対すると「理事会の閣内不一致だ」と揶揄することがあります。
しかし内閣が連帯責任を負っているのに対して、理事会はそうではありません。
管理組合の目的が私有財産の集合体であるマンションの維持管理ですから、内閣と同一視して、閣内不一致と責めるのは筋違いでしょう。
理事会は何を決議したのか
標準管理規約では「役員は理事会の決議に従う」と定めていました。
では、そもそも「理事会は何を決議したのか?」をハッキリさせる必要があります。
ここで理事会が決議したのは、総会に議案を提出することです。
ということは次の2通りの考え方があると思います。
- 理事会で議案提出を決めたから、個人的な意見は控えて賛成するべき
- 一組合員としての権利を尊重し、総会では自由な投票を認めるべき
どちらの考え方も一理あるようだけど…?
たしかに、1と2どちらも頷ける考え方です。
規約の条文と理事会決議を素直に読めば、理事会の決議に従って、各理事は総会に議案を提出することに対して拘束されることはあっても、議案に賛成することにはなりません。
議案に賛成することを理事に強制するのは行き過ぎでしょう。
だから一貫して反対の立場を貫く理事がいても不思議ではありませんし、むしろ健全に議論と会議の運営が行われている証だと考えて良いのではないでしょうか。
総会の議決権行使(賛否)は各理事の判断に委ねるのが妥当でしょう。
理事の意思表示はどこまで許容されるか
賛否の表明が各理事に委ねられたからと言って、一般の組合員と同じというわけにはいきません。
理事会の決議に反対する言動をすれば一般の組合員を戸惑わせることになりますし、行き過ぎた行為をすればいたずらに総会を混乱させるだけです。
たとえば先陣を切って議案を潰す裏工作や扇動をしたり、総会で他の役員、理事会運営を非難する発言をすれば、理事としての適性・品位を欠く行為を行ったとして「誠実に職務を遂行していない」とみなされる可能性すらあります。
反対意見でも、ちょっとした配慮をすれば、建設的で議論の質も上がるのですが…
熱くなって立場を忘れる人が少なくないので困りますね
トラブルを避けるためにできること
総会でいきなり反対するのは、同じ理事会の役員から見れば裏切り行為に思えるでしょう。
これは理屈の問題ではなく、感情の対立に発展してしまいます。
総会では反対票を投じたいので、よろしくお願いします
他の理事に、あらかじめ意思表示しておいて理解を求めるのがベターですね。
反対するなら、理事を辞任してから反対するべき!
こういう強気な意見も見られますが、これも行き過ぎでしょう。
辞任させる根拠がないし「お前のことが気に入らないから辞めろ」と言っているようなものです。
今後の長い生活に遺恨を残すので、理事会は賛成も反対も飲み込むくらい、度量の広さがなければ良好な運用は出来ないと心に留めてほしいです。
総会で理事が反対票を投じることは、禁止とはいえません。
ただし理事としての品位を欠く行為、理事会批判や先陣を切って反対論を披露することはダメ。
また理事会としても、反対意見も許容する度量の広さが求められます。
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