その見積もりは「高い」のか「高額」なのか、似ているようで違う意味

見積書

管理会社の仕事のひとつとして、さまざまな見積もり取得があります。

管理組合から見積もりを頼まれて、こちらにお任せという場合は、基本的に自分が懇意にしていて、気心の知れた業者に声をかけるようにしています。

多少の無理もきいてくれるし、アフターも安心だし、変な誤魔化しがなく信頼できるし、何よりやり取りがスムーズで自分の仕事がやりやすいからです。

ビジネスのイラスト「握手・契約成立」
業者との信頼関係が大事!

修繕見積もりの価格は、依頼の内容によって数万円~数百万円まで様々です。

それが理事会に見積もりを出したとき、第一声で「高い!」と言われると、すごくがっかりします。

「高額」と「高い」は似て非なる言葉

  • 高額・・・・「沢山お金がかかる、高価なもの」
  • 高い・・・・「相場から見て高額なもの」

さて、さきほどの「高い」はどちらの意味で言ったのでしょう?

きちんと相場を把握した上での言葉だったのでしょうか?

見積もり取るのは手間ひまかけています

見積もり取っておいて!の依頼は電話一本で済みますが、見積もりを取るのは、見えない手間ひまがかかっています。

  1. 依頼内容を業者に説明して、対応できるか確認
  2. 現場調査の日程を調整
  3. 調査に立ち会って、修理内容の指示と打ち合わせ
  4. 提出されるまでの進捗管理(提出が遅ければ催促)
  5. 見積書を受領
  6. 依頼通りの内容かチェック、間違っていたら修正指示
  7. 専門用語、施工方法、段取り、住民への影響有無、納期、工事日数など、想定質疑応答
  8. 最終提出版の見積書を受領、チェック
  9. 理事会への説明のため写真整理と説明資料を作成

これらの工程を経て、理事会に提出しています。

理事会では最後に提出された見積書の金額に注目するので、冒頭のような反応になるのでしょう。

手元に届いた見積もりの後ろには、複数の人間・複数の工程が関わっていることを知ってほしいです。

相見積もりを頼むこと

「あと2、3社見積もり取って~」なんて気軽に言わないで・・・・・

たしかに、いろんな業者の、いろんな金額を見るのは楽しいですけど!

資料・書類の入った封筒のイラスト
たくさんの見積もりを「見る」のは楽しいです

もし簡単に何社もの見積もりがあっという間に出そろってきたら、出来レースを疑っても良いと思います。

真面目に見積もりを取るなら、1社1社にさっきの手順を踏まなければならないのです。

見積もりの比較で最低限チェックしたいことがある

見積もりの項目は、各社バラバラです。会社の考え、見立てがあるので仕方がないことです。

これを完全に統一させるのは無理だと思ったほうがいいですね。

役員さん
役員さん

A社の金額だけ消して、B社に見せれば、内容を揃えることが簡単じゃない?

もしこのやり方で、A社の見積もりの「中身」が間違っていた場合。

B社に発注してトラブルが起きても、責任を取ってくれないかも。
管理組合が仕様・内容を指定した、と主張する可能性があります。

そこで、「A社の見積もりは参考にして、B社の責任で積算してください」という方法もあります。

でもこのやり方はA社の積算の労力を盗むことで、道義に反すると思うんです。

B社
B社

ウチの見積もりも、もしかして他社のために利用されるのでは・・・・?

フロントと、A社・B社との協力関係にヒビが入りかねず、今後の仕事がやりづらくなるんです!

これはかなり切実で深刻な問題です。

  • 使っている材料は求めているものか(分からなければ質問する)
  • 数量は同じか、同等か
  • 一方にあってもう一方にない項目は何か
  • 有効期限、見積もり条件など、特別な条件が付いていないか 

必要な相見積もり

それでも高すぎるんじゃない?と感じたり「妥当なのかどうかわからないけど高額だから1社だけはまずいな」と思ったなら、遠慮なく相見積もりを頼んでもOKです。

フロントも、理事会がどういう意向で依頼しているのか分かりますので、きちんとした相見積もりを手配するために動きます。

どうしても信用できない、談合や出来レースを防ぎたい、ということなら、理事会が独自に見積もりを取るのもOKです。

こういう真剣なやり取りがあれば、見積もりに参加してくれる業者や、理事会とフロントの間に緊張感も生まれるし、結果的に信頼関係が育っていくと信じています。

価格競争のイラスト
誠意のある競争なら、負けても納得!

コメント